数年前の大学入試の作文で「人」というテーマが出ました。当時であれば、「人」は一撇一捺で簡単に書けるように見えますが、実際に人として生きることは、一撇一捺のように簡単ではなく、さまざまな複雑な関係が存在します。しかし今、私自身は人そのものが、その字の本質と同じようにシンプルだと思います。
このシンプルさは、いわゆる単純さを浅く理解するのではなく、私たちはその本源を探求すべきです。人の本源は実際には非常にシンプルであり、人々が追求する大きな道は本源の上に築かれています。先秦の諸子のように、民族文化の本源に立脚しており、それが根であり、後の哲学の多くはこの根から抜け出せません。人も同様で、複雑な天下の大きな道や処世の原則は、実際には一つのシンプルな本源の上に築かれています。それらの大きな道や原則は、実際には本源の延長であり、あるいは本源の具体的な解釈であるべきです。人として生きる根本的な原則から始めれば、自然と人として生きることが難しくないと感じるでしょう。
おそらく「社会はこんなに複雑なのに、どうして人として生きることが簡単であり得るのか？」と言う人がいるでしょう。この見解は間違いとは言えませんが、十分に正しいとも言えません。なぜなら、私たちは社会の表面的な現象から内面的な核心を理解することができないからです。外科医が脳手術を完遂できないのと同じです。だからこそ、専門家に専門の仕事を任せ、脳外科の専門家に手術を行わせる必要があります。社会が複雑である理由は、人間の要素があるからであり、さまざまな欲望が人々を駆り立ててこの社会を推進し、社会をさらに複雑にしています。しかし、別の視点から考えてみると、線は点から構成され、面は線から構成され、社会もまた一人一人の個人から構成されています。もしすべての人が率直であれば、社会は別のシンプルな状態を呈し、もはや捉えにくくはなくなるでしょう。現実には、すべての人が処世の根本原則から出発して生きることができるとは言えませんが、社会のすべての人が複雑であるとも言えません。このような「陰陽」の調和の後、私たちは自然と人として生きることが難しくないと感じるでしょう。
このように考えると、私は性善説を支持しているように見えます。なぜなら、私は人の本性が善であると信じているからです。人は善から出発し、根本から始めるべきですが、実際には私は性善説を支持しているわけではなく、性善説の証明について議論するつもりもありません。性悪説が正しいとも思いません。私は人として生きることは孔子と荀子の二人の知者の見解を結びつけるべきだと考えています。私たちは人として生きる根が善から出発することを信じるべきですが、同時に常に修正と教化を行う必要があります。結局のところ、大きな木が最も成長するのはその根です。空間を与えつつ、導くことも必要です。
漢字の「人」は、一撇一捺で人を形成します。それは人の姿であり、人の意味も持っています。一文字が私たちに多くのことを教え、一文字では特別なものが見えないこともあります。これが実際に中華文化の独特な魅力ではないでしょうか？内に秘めつつも、常に花開く準備をしている特別で美しい中華文化です。
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